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NO381 2010.4.8
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                              2010.4.8  NO.381

       ◇日経、本日の蛍光ペンでマークする記事・ことば◇  
                                            
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            2010.4.8(木)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●1面(P1)  《こもるなニッポン 2 》技術への過信捨て外へ

    ケータイやテレビ、半導体メモリー--。
    新興国が強いのはものづくりが比較的易しいデジタル分野というのが通り相場
    だった。
    ところが今、部品や素材、産業機械、プラントなど、日本の強みの「本丸」が、
    じわりと侵食されている。
    ・・・・・
    日本企業はなせ゛輝きを失ったのか。
    制御工学が専門の木村英紀・理化学研究所BSI-トヨタ連携センター長は
    「『ものづくり』への過度な自信と期待が一因」という。

    モノの品質にかつてほど差はなくなった。
    代わりに重要になったのがソフトやシステム、素早いグローバル展開力だ。
    世界は変わったのに自らの技術優位を疑わず、ものづくりで一点突破しようと
    する企業はなお多い。
    木村氏は「不利な戦局を大和魂で乗り切ろうとした戦前の日本」とも思う。
    ・・・・・
    いま、世界の成長とともに「オールジャパンで社会インフラの輸出を」との
    大合唱が聞こえてくる。官民協力は必要だ。
    ただそこに「お上頼み」という別種の内向き思考が潜んではいないか。

    「企業は自ら成長分野を開拓する。政府の役割は民間の力を最大限発揮させる
     環境づくり」。
    経済同友会の桜井正光代表幹事が話す。
    日本に構えて世界を待つ次代は過ぎた。「ものづくり神話」を超えて、新たな
    成長像を描くのは企業自身だ。


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●経済1面(P4)  クレジットカード 「二重ポイント型」人気

    クレジットカード会社のポイントと企業の独自のポイントが二重にたまる
    カードが人気だ。
    私鉄やスーパーのカードなど身の回りで使えるカードの利用が特に多い。
    景気低迷で利用者もポイントを多く集められるカードを選別している。

    西武ホールディングスが発行するカードはプリンスホテルなどの加盟店で
    使うと、独自のポイントとクレディセゾンのポイントが二重でたまる。
    2月末時点の発行枚数は約58万枚で2009年3月末比で26%増えた。
    東京メトロも定期券の購入などで独自のポイントに加え、ジェーシービーや
    三菱UFJニコスのポイントがたまる。

    セディナが発行するOMCカードにはダイエーのポイントカード機能が付いている。
    ダイエーで使うと両方のポイントがたまる仕組み。
    カード稼働率も通常よりも高い。

    カード各社は採算の低い提携カードの廃止を進めている。
    カードの種類が絞られるなか、効率良くポイントを集められるかどうかを
    利用者は重視しているようだ。


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●企業2面(P13)  TOBルール改正進み 買収防衛策 50社が廃止

    敵対的買収に対する防衛策を廃止した企業が、7日時点で50社にのぼることが
    野村證券の調べで分かった。
    買収者に買収目的の開示などを義務付けるルール改正が進み、自前の防衛策の
    必要性が薄れたと判断する企業が増えている。
    リーマン・ショック後の海外投資ファンドの退潮も背景にありそうだ。

    野村が2005年以降に防衛策を導入した企業を対象に、開示資料を基に集計した。
    05年から現在までの導入企業はのべ614社。このうち経営破綻や親会社による
    完全子会社などの理由を含め、50社が防衛策を廃止した。

    買収防衛策は05年以降、パナソニックや東芝など有力企業が相次ぎ導入。
    07年には新規導入企業が250社と年間ベースで最多となった。
    買収者に情報交換を求め、社外取締役などからなる独立委員会が敵対的と
    判断した場合、新株予約権を発行できるという内容が一般的だ。

    防衛策の廃止は「06年の株式公開買い付け(TOB)に関するルール改正が理由の
    一つ」になっている。
    金融商品取引法の改正で、買収企業は買収目的などに関する被買収者からの
    質問に回答する義務が生じ、企業は自前で防衛策を設ける必要が薄れたという。

    高砂熱学工業は3月に買収防衛策を廃止した。
    買収ルールが厳しくなり、大量買付けの手続きの透明性が高まったと判断した。

    昨年廃止したアデランスホールディングスは法整備を理由に挙げつつ、
    「企業価値の向上こそ最大の買収防衛策」としている。

    防衛策は導入後、2~3年で今後も継続するかを検討する企業が多い。
    今年は更新期を迎える企業が多くなると予想されるが、「導入時に時間と
    コストをかけた分、積極的に廃止に踏み切る企業はそれほど多くないのでは」
    との見方もある。


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●マーケット総合2面(P17) 《大磯小磯》 持ち合い株受け皿商品への懸念

    持ち合い株式の処分を希望する上場会社に対し、信託を使った受け皿商品を
    動きがあるようだ。
    処分を希望する上場会社をA社、持ち合い株式の発行会社をBとする。
    報道からうかがえる仕組みはこうだ。

    A社は信託会社の間で信託設定の合意をして、B社株を信託会社に譲渡する。
    A社は信託の「委託者」、信託会社は「受託者」だ。
    信託会社はB社株の名義人となり、信託契約に従ってB社株を保有し管理する。
    A社は信託財産となったB社株の配当や信託期間満了時のB社株の処分代金など
    経済的利益を受け取る「受益者」でもある。
    受益者としての権利は譲渡可能だから、A社は、そのすべてを第三者に譲渡して
    B社株の価格変動リスクを回避することができる。

    他方、B社株の議決権を有するのは、B社株の名義人であり受託者でもある
    信託会社だ。しかし、委託者であるA社は、議決権の行使を指図する権利を留保
    することができる。その結果、A社は、B社株の価格変動リスクから免れる
    一方で、信託期間中のB社株の議決権を事実上持ち続けることが可能であり、
    B社との関係も維持できるという。

    一見すばらしい受け皿商品のようだが、違和感を禁じ得ない。
    例えば、B社の株主総会において、A社はいかなる基準で議決権を行使すると
    いうのだろうか。
    A社が名実ともにB社の株主であれば、B社の業績向上や株価の上昇を期待して
    議決権を行使すると言えば済む。
    しかし、この受け皿商品のもとでは、A社はどのように議決権を行使しようと、
    B社の株価の上昇による利益を手にすることも、下落による損失を被ることも
    ないのだ。

    この受け皿商品が広まれば、上場会社の株主総会で、会社の業績や株価の変動に
    利害関係者を持たない者が行使する議決権が増えることになる。
    しばしば批判の対象になるように、持ち合い株式の議決権行使も、純粋に株主
    としての損得勘定で行われているわけではない。
    しかし少なくとも株価の下落リスクを負担するという点において、一般株主にも
    共通する自己責任の原則は残されている。
    この受け皿商品のもとでの議決権行使にはそれすらないのが気になるのだ。

    持ち合い解消を目的とするはずの仕組みが、より異質な議決権行使を増やす
    ことにならないように注意していく必要がありそうだ。

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 編集後記

 日銀、3月の金融経済月報で設備投資は「おおむね下げ止まっている」へ上方修正。

 ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡下さい。     (那珂)

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NO382 2010.4.9
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            2010.4.9(金)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●1面(P1)  動き出す「21世紀型安保」

    米国とロシアが戦略核兵器の大幅削減を盛り込んだ新たな核軍縮条約に
    調印した。
    オバマ大統領が提唱した「核兵器なき世界」への大きな一歩であり、
    世界の安保環境が変化し始めた。
    見え始めたのは、核テロなど新たな脅威をにらむ21世紀型の安保思考による
    秩序づくりの胎動だ。

    一瞬で多数の人命を奪う核の脅威。唯一の被爆国である日本にとって核廃絶は
    悲願の一つだ。ただオバマ氏の言動をみると、理想論だけでなく実利的な計算が
    働いていることが読み取れる。

    「全面核戦争の危機は去った」。3月のオバマ氏の声明にはこんなくだりがある。
    背景には冷戦終結後の世界経済の一体化がある。1973年の石油ショックは西側
    だけの危機だったが、2008年の金融危機は瞬く間に世界を飲み込んだ。
    ロシアに米国を屈服させる核能力があったとしても、米国の破滅は自国経済
    をも破綻させる。現に8日の両首脳の会談では時間の半分が世界経済の討議に
    割かれた。

    目の前のコストの問題もある。通常兵器より安上がりとされる核兵器だが、
    専門誌「核不拡散レビュー」のスティーブン・シュワーツ氏によると、
    米政府の核関連支出は08年度で528億ドル(4兆7,500億円)と米軍事費のほぼ1割を
    占めた。大半は以前より必要性の低くなった戦略核弾頭などの維持費だ。

    20世紀とのもう一つの違いはテロの危険性の高まりだ。自爆も辞さない
    テロリストには核で威嚇しても抑止力にはならない。逆にテロ組織に核が
    渡れば各国は未曾有の被害を受ける。
    損得勘定でいえば大量の核を維持する利点は少ないというのがオバマ氏に
    助言したキッシンジャー元国務長官の判断だった。

    戦略核削減に続く難題の一つが、戦略核よりも射程が短い戦術核の削減だ。
    6日に米国防総省が発表した「核体制の見直し(NPR)」も、ロシアとの
    戦術核削減交渉を始める方針を明記した。ただ戦術核の削減は、朝鮮半島や
    中東地域などの既存の軍事バランスを揺るがしかねず、慎重な計算も必要と
    なる。

    さらに、ようやく調印に至った戦略核削減の新条約も盤石ではない。
    「ドミトリー、合意済みだったじゃないか」

    交渉終盤にロシアがミサイル防衛(MD)への制限を条約に書き込むよう求めた際、
    オバマ氏は同国のメドベージェフ大統領をこう難詰した。

    将来米国がMDを本格配備すれば、米ロの核均衡は崩れかねない。
    ロシアがMDへの反発を強めれば、かつて破棄された複数の
    米ロ核軍備管理・軍縮条約と同じ道を新条約がたどらないとも限らない。

    核秩序の変化は日本の安全保障も左右する。「中国との戦略的安定」--。
    NPRでは、米ロ核軍縮が履行されると、相対的に存在感が強まる中国の核戦力
    への警戒感を繰り返し指摘。
    米国は、米本土や日本も射程に入れる核兵器を増強中の中国を将来は
    軍縮交渉の場に引き出したい考えだ。一方、中国は核安保サミットには
    参加しつつも自国の核を減らす動きは見せず、巧みに立場を使い分ける。

    米NPRは、今後核兵器への依存を少なくするうえで通常戦力がより重要になると
    指摘。米軍は朝鮮戦争など過去何度か戦局が不利になった時に核兵器使用に
    傾いた例があったが、今後は核使用の誘惑に駆られることなくあくまで
    通常戦力での勝利を目指す方針だ。
    北朝鮮や中国など不安定要因を抱える日本周辺では、海兵隊など米軍の
    前方展開戦力がますます重要になる構図だ。

    被爆国という被害感情から核軍縮や拡散防止に熱心な一方で、普天間基地問題を
    迷走させ、自ら地域の安保秩序を混乱させているかに映る日本。
    オバマ氏の「核兵器なき世界」構想にただ喝采を送るだけでなく、したたかで
    すきのない「次の段階」の安保構想をまとめるべきときを迎えた。


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●国際2面(P7)  核サミット・NPT再検討会議 Q&A

    米ロが調印した新たな戦略核兵器削減条約の特徴や展望をまとめた。

   Q 新条約が過去の条約と異なる点は。

   A 条約は正式には
    「戦略攻撃兵器のさらなる削減と制限の方法についての米国とロシアの条約」
    という。
    1991年に調印した第1次戦略兵器削減条約(START1)は未配備分を含むすべての
    核弾頭を対象とし、米ロ各6,000個を上限とした。
    一方、新条約はあくまで「配備された」核弾頭数が対象で、上限を1,550とした。
    1,550の枠に収まらない分の核弾頭は廃棄する義務はなく、保管もできる。
    ただ運搬手段の総数が制限されるため、保管してもただちに戦略核兵器として
    利用しにくく、条約の実効性は確保できるとの判断だ。
    核弾頭の廃棄で取り出したプルトニウムについてはこれまでと同様
    「原子力発電用に転用する」ことになりそうだ。

    検証措置は、新型ミサイルの実験データの交換などを盛り込んだが、START1に
    比べ簡素化され、同条約で認めていたロシアの
    移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)製造工場への米国監視員の常駐は廃止。
    核弾頭の保管設備も査察対象から外れた。


   Q 両国議会での批准の見通しは。

   A 行方が不透明なのが米議会だ。米国では批准には上院の承認が必要で、
    定数(100)の3分の2の賛成で承認される。だが政権与党・民主党の現有議席は
    同党系無所属も含め59にとどまる。党議拘束のない賛成票をまとめ、さらに
    共和党議員をどう説得するかが問題だ。

    一方、ロシア議会は与党・統一ロシアが3分の2以上の議席を占めており、
    メドベージェフ大統領が指示すれば条約は批准される可能性が高い。
    ただ、ロシア側は「米国と同時でなければ批准しない」と主張。
    条約とミサイル防衛(MD)の関係を巡る米議会の議論によっては、ロシアも
    批准作業を引き延ばす可能性がある。


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●マーケット総合1面(P16)  《まちかど》ベンチマークが話題

    年金などが株式の運用成果の基準にするベンチマークに何を使うかが関心を
    集めている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に関する政府の
    検討会では、TOPIX(東証株価指数)の採用を見直す余地があるとの意見が出た。
    TOPIXが基準だと流動性の低い銘柄の影響を受けやすいとされる。

    国内機関投資家の多くはTOPIXを使っている。海外では目的に応じた多様な
    指数が用いられている。変更の動きが出てくれば株式相場にも影響を与え
    そうだが、GPIFは「問題意識の段階で変える予定はない」としている。


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●マーケット総合2面(P17) 《大磯小磯》 違和感あるアジア内需論

    今後増大が予想されるアジアの内需を日本の成長力に結び付けていくべきだ
    という主張が目立つ。
    これは正しいのだが、さらに進んで「アジアの内需を日本の内需と位置付ける
    べきだ」という議論が流布しつつある。
    こうした議論を「アジア内需論」と呼ぶことにする。

    政府内でも、直嶋経済産業大臣は「アジアの内需は日本の内需だと思って
    取り組むべきだ」と発言している。
    鳩山総理も「内需も外需も経済においては壁がないんだという思いの下で、
    アジア全体を成長させていく」と述べている。

    基本に戻って考えてみよう。
    経済活動における需要を構成するのが内需と外需(ここでは外需を海外需要の
    意味だと考える)なのだが、両者はそれが誰を豊かにするかという点で基本的に
    異なる。

    アジアの内需はアジアの人々を豊かにするのであり、その一部を日本からの
    輸出で賄った場合、それが日本の外需となる。
    アジアへの輸出によって得た所得を元に日本の内需が増えて初めて我々の
    生活は豊かになる。
    これがアジアの内需を日本の成長と豊かさを結びつける道である。

    このように考えていくと、アジアの内需論は次のような点で違和感がある。

    第1に、アジアの内需を日本の内需と考えるのであれば、裏返せば日本の内需は
    アジアの内需ということになる。アジアの内需論を唱える人々は、そうした
    考えに基づいてアジア諸国がどんどん日本への輸出を増やしても構わないと
    言うだけの度量があるのだろうか。

    第2に、文字通りアジアの内需と日本の内需が同じだというのであれば、アジアの
    人々が内需を増やして生活を豊かにすることは、日本人の生活が豊かになるのと
    同じように喜ばしいことになる。アジアの内需論を唱える人々はそう言い切る
    だけの度胸があるのだろうか。

    第3に、要するにアジアの内需論は、輸出主導型の成長戦略である。
    その一方で「輸出主導から内需主導へ」というスローガンがあるので、
    矛盾しないよう別の表現に言い換えただけではないのか。

    アジアへの輸出を増やすことによって日本の内需を拡大し、アジアからの
    輸入もまた増やす。そうすることによって日本とアジアがともに発展していく
    ことを目指す。
    奇妙な言い換えなどせずに、堂々とそう主張すればよいのではないか。

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 編集後記

 金の国内価格、27年ぶりの高値。

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NO383. 2010.4.13
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            2010.4.13(火)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●1面(P1)  《春秋》

    人生の出口でもう一度観てみたい・・・。
    映画好きは「ラストムービー」を考える。
    井上ひさしさんが挙げた一本に、黒澤明監督の「素晴らしき日曜日」があった。
    饅頭1個、コーヒー1杯が5円という敗戦直後、35円しかない若い男女の
    デートを描いた佳品だ。

    絶望と希望が、あざなえる縄のごとく二人にからまる。
    ただし、絶望はいつもいつも具体的だ。ダフ屋が券を買い占めたため、
    10円足りずに「未完成交響曲」の音楽会に入れない。
    ダフ屋に食ってかかれば逆に殴り飛ばされる、というように。
    一方、希望ははかなく、つかみどころがない。

    極めつきのシーがある。文無しになった男が寒風吹きすさぶ無人の
    野外音楽堂に立ち、女ひとりを聴衆に透明人間の楽団を率いて「未完成」を
    指揮する--。
    見えなくても確かにある希望に、井上さんは「素晴らしき人生」を見た。
    思えば、言葉とユーモアを操って、井上さんが説いたのも、弱き者の
    希望だった。

    「日頃からよく勉強し、よく考え、大事なときに、そういったものすべて
     捨て去って自然体になる」。
    いい作品を生む秘訣を井上さんはこう語っていた。言うはやすし。
    それゆえの遅筆と承知していたが、最期ばかリはあまりにも急ぎ足だった。
    たぶんラストムービーを観る間もなく。そんな思いにとらわれている。


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●総合・政治面(P2)  《社説》 選挙対策でむだな高速道路つくるな

    政府が6月から実施する高速道路の新たな料金制度を発表した。
    現在の「休日1,000円」などの割引制度の大半をなくし、普通車ならば2,000円
    までとする上限料金制を導入することが柱だ。

    自民党政権時代に始まった現在の割引制度は車種や時間帯によって複雑だった。
    この点で上限料金制への一本化は分かりやすい。
    環境対策としてエコカー減税車の料金を安くするのも納得できる。
    ただし全体として利用者の料金負担は増える。

    それにまして問題なのはも料金割引制度を見直す最大の狙いが、高速道路整備の
    財源調達にあることだ。割引制度の財源として残っている約2兆3,000億円の
    うち、約1兆1,000億円を高速道路の新設や車線数を増やす事業に回す。

    民主党が昨年、政府に提出した重点要望に沿った内容だ。
    前原国土交通相は当時、民主党の要望については違和感があると話していたが、
    結局、そのまま受け入れた。

    道路料金の引き下げは本来、高速道路各社の経営努力で進めるべきもの。
    それが道路民営化の目的だったはずだ。景気に配慮して国が一定期間、割引を
    手助けするのはやむをえないとしても、そのために手当てした財源の一部を
    経済効果の薄い道路建設にまで使うのはおかしい。

    東京外郭環状道路のように経済効果の面から整備を急ぐべき路線があるのは
    事実だ。しかし国交省は今回、昨年秋に凍結した6路線の拡幅事業のうち、4つを
    予定通りに実施することを決めた。
    これでは選挙対策といわれても仕方がない。

    高速錯道路の料金割引は福田政権時代に原油高対策として始まった。
    高速道路を持つ政府系の日本高速道路保有・債務返済機構の債務のうち3兆円を
    国が肩代わりし、同機構と高速道路各社はそれをもとにして割引をしている。
    つまり国民負担に基づいており、それをみだりに道路建設に転用してよい
    はずがない。

    料金割引の圧縮で浮く財源のうち外環道など重要案件に回す分を除いて
    同機構などは国に返すべきだ。

    また政府は6月ごろから首都高速と阪神高速を除いた全国の高速道路延長の
    約2割について料金を無料にする。しかし無料化する道路も細切れ区間
    ばかりで、1,000億円という予算額に見合う経済効果があるとは思えない。

    国の財政がこれだけ厳しい時に、選挙対策から再び道路建設を推進し人々の
    歓心を買おうとするするのは「コンクリートから人へ」という政権の理念にも
    反する乱暴な政策である。


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●マーケット総合1面(P16)  《まちかど》 上がるかTS倍率

    東証株価指数(TOPIX)を米S&P500種株価指数で割った「TS倍率」は前週末で
    0.83倍。値が低いほど日本株は米国株に比べ出遅れているとされる。
    月末ベースで09年7月末以降1倍割れが続き、同11月末には0.77倍と直近10年で
    最低水準だった。

    同12月末に0.81倍に戻った一因は日銀の追加の金融緩和策とみられる。
    「外国人投資家の期待が大きい金融政策で資金の流れが変わるケースは多い」。
    検討中とされる日銀のさらなる追加策が明らかになればTS倍率も上昇するか。


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●マーケット総合2面(P17) 《大磯小磯》 変貌迫られるメディア産業

    米国ペンタゴンからスタートしたインターネットは、今や全世界を
    情報ネットワークで覆っている。
    次々に生み出される革新技術によって世界をフラット化し、諸産業の
    ビジネスモデルも大きく変わった。
    はじめに変化の洗礼を受けたのが、通信業界であるが、やがて嵐は
    情報産業全般に波及し、近年はマスメディアにも影響が及んでいる。

    端的な象徴はわが国の広告費の推移である。
    2009年の総広告費(電通発表)は5兆9千億円と2年連続で減少した。
    しかも落ち込み幅が前年の5%から12%へと拡大している。
    もとよりリーマン・ショックの影響はあるが、マスコミュニケーションの変貌が
    一段と進んだことは間違いない。

    媒体別ではテレビ89.8%、ラジオ89.4%、新聞81.4%、雑誌74.4%と、
    マスコミ4媒体がすべて前年の実績を下回っている。
    特に紙媒体への影響が大きく、各社の09年度決算は軒並み苦戦した。

    米国ではニューヨーク・タイムズが、ルパート・マードック氏率いる
    ウォールストリート・ジャーナルと激烈な戦いを展開しているが、業績不振が
    続いている。

    グーテンベルクの発明以来発展してきた紙印刷文化は転機を迎え、
    マスメディアを支えてきた発信側の広告料と読者・視聴者への課金システムも
    変化のさなかにある。
    世界屈指といわれた我が国の新聞、雑誌の部数は全体として減り、それを補う
    電子媒体もグローバル化によって、刻一刻とビジネス形態が変化している。
    収入源は一方的な情報伝達手段から双方向が可能なインターネットへとシフト
    しつつある。

    近年、デジタル技術の飛躍的な進歩によって情報機器のコストが劇的に下がり
    続ける一方、映像伝送が高度化し、広告範囲の拡大と効果の測定が可能に
    なってきたのが原因であろう。

    4年前に本欄で紹介したロング・テール理論の著者クリス・アンダーソンは
    昨年、著書「FREE(無料)」を出版した。
    この背景には、リナックス、ウィキペディア、グーグルなど、無料提供の
    知的サービスが全世界で進行しており、情報社会の中心がマスからパーソナルに
    移るとの基本認識がある。

    わが国の政界、経済界のリーダーは急激に変貌しつつある情報社会の実態を
    理解し、将来への対策を講じることができるであろうか。(悠憂)

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 編集後記

 核セキュリティーサミット始まる。

 ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡下さい。     (那珂)

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NO384. 2010.4.14
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                              2010.4.14   NO.384

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            2010.4.14(水)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●経済1面(P4)  働く人が協同出資、平等に経営に参加 「協同労働」3人から可能

    働く人が協同出資して起業し、経営にも携わる「協同労働」という働き方を
    支援するための法案の原案が13日、判明した。
    事業母体にこれまで認めてこなかった法人格を与えて活動しやすくするほか、
    設立に必要な最低社員数を3人と決めた。
    主婦や若者、高齢者らによる地域密着型の起業を促し、地域活性化や
    雇用創出効果も期待する。

    法案は「協同労働の協同組合法案」(仮称)。
    事業母体に法人格を付与した上で法人税率を軽減。労働者については労災保険や
    雇用保険の対象とすることも定めた。
    また「特定の政党のために利用してはならない」とも明記した。

    超党派の「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」
    (会長・坂口力元厚生労働相)が14日の会合で原案を決める見込み。
    議員立法による今国会で成立を目指し、民主党や公明党などが党内調整を
    進めていた。早ければ5月中にも成立する見通しだ。

    協同労働には、労働者の協同組合が手掛ける公園の緑化事業や清掃、
    子育て支援や介護事業などがあり、いずれも地域密着型の事業が中心だ。
    出資額にかかわらず1人1票の発言権で平等に経営に参加し、全員が協議して
    給料や運営方針を決めるのが特徴だ。

    一般的に協同組合を事業母体とする例が多いが、これまでは法人格が持て
    なかった。そのため便宜的に特定非営利活動法人(NPO)や株式会社として
    活動している。
    
    ただ、労働者の出資が認められないことや、平等な経営を目指しながら形式的
    には労使が区別されてしまうことから、協同労働に適した法整備を求める声が
    多かった。

    民主党の一部には、公明党の坂口氏が会長を務める議連が推進する議員立法に
    協力することで、今後の国会審議で公明党を取り込みたいとの思惑もある
    ようだ。


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●企業総合面(P11) シャープ携帯 海外で反攻 マイクロソフトと連携

    伸び悩む国内市場に閉じこもっていた携帯電話メーカーが海外進出へ動き
    始めた。
    シャープは米マイクロソフト(MS)と組んで5月以降、欧米で
    スマートフォン(高機能携帯電話)「KIN(キン)」を発売、中国でも
    第3世代携帯電話サービス(3G)に対応した端末を本格投入する。
    汎用性のある基本ソフト(OS)を使ったスマートフォンの人気やアジアでの3G
    普及で再進出の環境が整い始めている。

    「キン」はMSの携帯電話用OS「KINウィンドウズフォン7」をベースに開発。
    北米では携帯電話大手ベライゾンワイヤレス向けに、欧州ではボーダフォン
    向けに投入する。手のひらサイズのコンパクトな「キン・ワン」と、横長の
    「キン・ツー」の2機種があり、いずれもスライド式キーボードとタッチパネル
    画面を搭載し、800万~500万画素のフラッシュ付きカメラを内蔵した。

    シャープの大畠昌巳執行役員・情報通信事業統括は「キンで欧米市場に
    再チャレンジしたい」と意欲を示す。
    スマートフォンは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や米グーグルの
    携帯用OS「アンドロイド」を搭載した携帯電話が存在感を増している。
    シャープは「この端末にとどまらずウィンドウズフォンを出していく」と
    しており、MSとの提携を通じて欧米市場を開拓する方針だ。

    一方、中国では13日、2010年末までに、中国での携帯電話販売店を現状の
    5割増しの1万店まで増やすと発表した。内陸部や中小都市を中心に販売店を
    増やすほか、携帯電話専門店に加え、家電量販店での販売も拡充する。

    品ぞろえも09年の新機種投入は10機種だったが、10年は22機種を発売する。
    このうち3Gに対応した端末は前年の5倍の10機種発売する計画。
    スマートフォンも今夏に投入する予定で、現在0.1%にとどまる3G端末シェアを
    10%まで伸ばしたい考えだ。

    「カラー液晶もカメラ付き携帯も世界初だったのになぜ海外に出られ
     ないのか」。
    シャープの海外での巻き返しは片山幹雄社長が就任以前から温めてきた
    プロジェクトだという。
    日本の携帯電話はNTTドコモなどが開発、販売まで手がける通信会社主導だった
    ため、戦略上の制約があった。
    「iモード」のような先進的なサービスは生まれたものの海外に進出できない
    「ガラパゴス化」と呼ばれる状態が続いていた。
    今後はMS、アップル、グーグルなど世界標準に準拠して海外市場での巻き返しを
    狙う。

    バークレイズ・キャピタル証券の津坂徹郎アナリストは
    「海外のOS会社と組むことで、日本メーカーも特定の通信会社に縛られない
     独自ブランドの端末を世界展開する環境が整いつつある」と指摘する。


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●社会面(P38)  薄毛治療、効果5段階評価

    日本皮膚科学会は、国内で約800万人の男性が悩んでいるとされる薄毛・脱毛
    など「男性型脱毛症」に関する初の診療ガイドライン(指針)をまとめた。
    薬による治療や髪を植える植毛など10種類の対処法について、公表されている
    研究論文をもとに科学的根拠の有無を調査。
    学会として推奨できるかどうかを5段階で評価した。

    指針は東京医科大学の坪井良治教授を委員長とする10人の専門家で作成した。
    治療薬や育毛剤・植毛など10種類の対処法を「A」「B」「C1」「C2」「D」の
    5段階で評価した。

    最上級のA(強く勧められる)と判定された成分は、飲み薬の「プロペシア」に
    含まれる「フィナステリド」と塗り薬の「リアップ」に含まれる
    「ミノキシジル」の2つ。自分の毛を脱毛部に移植する「自毛植毛」は
    B(勧められる)評価とされた。

    薬局で買える一般的な育毛剤などに含まれる成分では、「アデノシン」や
    「t-フラバノン」など5種類が「C1(考慮しても良い十分な根拠がない)」と判定。
    「セファランチン」は「C2(根拠がないので勧められない)」とした。
    化学繊維を使う「人工毛植毛」は炎症などの報告があるため、
    「D(行わないよう勧められる)」に分類された。

    坪井教授は「効果がほとんどない対処法も広がっており、正しい知識を
    啓発したい」としており、議論を呼びそうだ。
    指針は、17日の同学会総会で発表、今月下旬をメドに学会ホームページでも
    公表予定。


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 編集後記

 松井、ヤンキースタジアムでスタンディングオベーション。

 ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡下さい。     (那珂)

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NO385 2010.4.15
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                              2010.4.15   NO.385

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            2010.4.15(木)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●1面(P1)  《春秋》

    英国議会の床には、2本の赤い線が引いてある。どんなに議論が熱を帯びても、
    議員は決して線から足を踏み出してはならない。与野党どちらから剣を
    伸ばしても、ぎりぎり届かない距離。
    英国の議会制度の伝統を示す「剣線」である。

    扇型に議席が並ぶ日本や米国と違って、英国の下院は与党と野党が真正面に
    向き合って座る。剣線の間際なら、相手の息づかいや顔色の変化まで肌で感じ
    取れるだろう。議員全員分のイスの数はない。あふれた議員は、立ち見で
    参戦だ。狭い議場で生身の人間がぶつかり合う。
    議会制民主主義の原点がここにある。

    その英国議会が解散された。5月の総選挙は英国だけでなく、民主主義の歴史に
    残る大きな戦いになるかもしれない。
    ブラウン首相の労働党も、キャメロン党首が率いる保守党も、人気はいま一つ。
    第3党の自由民主党の動きから、目が離せない。どの政党も過半数に達し
    なければ、実に36年ぶりの異例の事態だ。

    英国が生み出した議会政治の知恵は、日本のお手本でもあった。
    影の内閣やマニフェスト、一騎打ちの党首討論など、輸入した手法や制度は
    少なくない。
    剣線を挟む左右の議席に、誰が、どんな組み合わせで座るのだろう。
    二大政党をくっきり対峙させてきた巧みな議場の設計に、微妙な違和感が漂い
    始めている。


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●1面(P1) 業績・働きやすさ・・・企業ランキング 新評価システム「NICES」

    日本経済新聞社は日経リサーチ、日本経済新聞デジタルメディアと共同で、
    上場企業を業績や社員の働きやすさ、社会性など広い観点から評価する
    新システム「NICES(ナイセス)」を開発し、ランキングを作成した。
    1位はキリンホールディングスで、働く環境の整備や業績の安定性など、
    各評価項目で高い得点をあげた。

    日経の総合企業ランキングにはCASMA(カスマ)とPRISM(プリズム)の2つが
    あったが、今回、この2つを発展的に統合。後継のランキングとしてNICESを
    スタートさせた。
    新しい企業評価では、企業を支える様々なステークホルダー(利害関係者)に
    目配りし、全体としてバランスのとれたランキングの作成を目指した。

    具体的には「投資家」「消費者・取引先」「従業員」「社会」の4つの指標を
    設定。まず各指標でのランキングを作成した。この際、公開情報に加え、
    各企業へのアンケート調査などを実施、幅広くデータを集めた。
    各指標の得点を合算し、総合ランキングとした。

    1位のキリンは「従業員」や「消費者・取引先」の側面で、特に高い点数を
    獲得した。育児休業や介護休業の取得人数が多かったことなどが、「従業員」
    での高得点につながった。また、新商品の開発や広告宣伝を通じて、一般消費者
    への認知度が高いことが高評価の要因となった。

    2位は同点でホンダとキャノンだった。
    両社とも各指標でバランス良く上位になったが、特に「社会」での得点が
    高かった。
    ホンダは雇用や納税、環境対策などの面で高い点数が入り、キャノンは納税に
    加え、社会貢献活動の幅広さでも評価が高かった。

    ランキング上位には広い業種の企業が並び、上位30社には製造業のほか
    金融や商社、電力・ガスの有力企業が顔を出した。
    金融危機後の需要落ち込みで評価対象時期に自動車や電機など輸出企業の
    業績が悪化したため、これら企業の一部は「投資家」の指標で今回の点数が
    低くなった面がある。


    〈NICES総合ランキング上位企業〉

    1 キリンホールディングス
    2 ホンダ
    2 キャノン
    4 花王
    5 三菱UFJフィナンシャル・グループ
    6 KDDI
    7 三菱商事
    8 大阪ガス
    9 パナソニック電工
    9 日産自動車
    9 三井物産


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●総合・政治面(P2)  《社説》 各テロ防止へ世界は行動を

    東西冷戦の終結から20年以上が過ぎた今、もっとも現実的な核の脅威は
    核テロリズムだろう。
    アルカイダのような国際テロ組織が、核兵器や核物質を強奪して使用したり、
    原子力発電所を通常爆弾で攻撃したりする懸念は捨てきれない。

    核テロを防止し、世界の安全をいかに守っていくか。米国のオバマ大統領の
    呼びかけで、12、13日にワシントンで開いた核安全保障サミットの主眼もまさに
    ここにあった。

    サミットでは、兵器用だけでなく民生用も含めたすべての核物質の安全な
    管理体制を、4年以内に徹底することで合意した。
    参加した47ヵ国と3国際機関の首脳らが、核テロ対策への責任を共有し、
    国際協調を強める決意を確認した意義は大きい。

    具体的な成果もあった。旧ソ連のウクライナ、メキシコなどが国内に備蓄する
    高濃縮ウランを完全廃棄すると約束し、カナダも米国への移送を表明した。
    特に旧ソ連諸国は核物質の管理体制の甘さが指摘されていただけに、一歩前進と
    いえる。

    とはいえ、核テロの脅威は世界のいたるところにある。
    政情不安が続くパキスタンは核兵器保有が確実視され、アルカイダが拠点とする
    アフガニスタンにも隣接している。
    核開発を進める北朝鮮やイランの核技術がテロ組織に流出する恐れもある。

    原発など原子力施設も、核テロの対象となり得る。
    現在30ヵ国・地域で原発が稼働している。温暖化対策やエネルギー価格の
    高騰から、原発新設を計画する途上国も多い。核物質や原子力施設の厳格な
    防護体制が求められるゆえんだ。

    サミットを機に、国際社会は結束して核管理体制強化への具体的な行動を進める
    必要がある。

    日本の役割も重要だ。日本はサミットで、核物質や原子力施設の保全・防護を
    担う拠点を整備し、アジアの人材を育成すると表明した。
    核物質の拡散防止を担う国際原子力機関(IAEA)への財政支援も約束した。
    日本の天野之弥氏が事務局長に就いたIAEAの役割強化を含め、今後も積極的な
    貢献策を求めたい。

    次回は核安全保障サミットは2012年、韓国での開催が決まった。
    北朝鮮は核放棄を求める国際社会の意志と受け止めるべきである。


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●経済1面(P4)  返済猶予申請55,000件 大手銀2月末

    大手銀行は14日、昨年12月施行の「中小企業金融円滑化法」に基づく
    中小企業向け融資や住宅ローンの返済条件の緩和実績を発表した。
    今年2月末時点の申込件数は55,164件(2兆3,669億円)で、このうち条件変更に
    応じたのは24,438件(1兆2,881億円)だった。
    2月に入って申し込みのペースは落ち着いたが、年度末を控えて事前の相談は
    増えているという。

    1月末の申込件数は36,940件(1兆5,814億円)、条件変更に応じたのは
    11,558件(7,048億円)だった。
    2月の申し込み状況は中小企業向け融資、住宅ローンとも1月とほぼ同じペース。
    施行から3ヵ月が過ぎて「申し込み状況は落ち着きつつある」という。

    ただ3月は決算期末に向けて企業の資金需要が高まるため、「2月は申請に向けた
    事前の相談が増える」。
    相談の増加で、3月には再び申込件数が膨らむ可能性も否定できない。

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 編集後記

 ワシントン・ポスト、「最大の敗者」と酷評。

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NO386 2010.4.16
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                              2010.4.16   NO.386

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            2010.4.16(金)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●経済2面(P5)  共通番号 複数案を提示 検討会素案「住基ネットが有力」

    政府の検討会が5月に策定する税と社会保障の共通番号制度の素案が15日、
    明らかになった。
    住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)などを挙げて「どの番号を使うか」
    「どの分野に導入するか」について複数の選択肢を提示する内容。
    新たな投資が比較的少ない住基ネットの番号を、共通番号の有力候補に挙げて
    いる。コストや長所・短所も示し、国民の意見を聞きながら制度設計に
    着手する考え。

    共通番号制度は、国民一人ひとりの番号を決め、医療や年金などの分野で
    すでに割り振られた番号の情報を共有する構想。
    所得の捕捉と社会保障制度を結びつけることで、納税額に応じたきめ細かい
    福祉サービスを実現する狙いだ。

    素案では、共通番号の候補として住基ネットと基礎年金番号の2つの既存の番号に
    加え、新たな番号を設定する案も明記。
    このうち未成年者に新たに番号をふる必要がある基礎年金番号と、新番号に
    関しては「コスト増になる」と指摘した。

    既存の各番号と共通番号の間での情報のやりとりを巡っては、
    プライバシー保護の観点からデータベースを独立させて情報交換する案が
    有力となっている。

    番号の活用範囲に関しては
    1 税と年金
    2 税と社会保険
    3 医療・介護の保険証機能を含めた社会保障と税
    4 行政全般--の4案を示した。
    今後、プライバシー保護の度合いやコストの大小をさらに精査して、国民の
    意見を聴取する方針だ。


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●マーケット総合1面(P16) 《まちかど》 騰落レシオに新たな節目

    株式市場の過熱感を示す「騰落レシオ」。
    120%を超えると買われすぎと見るのが経験則だ。しかし150%まで上がると
    「逆に下がりにくさの目安」との指摘がある。
    実際、東証1部の同指標(25日移動平均)が4月5日に150%を超えても株価は底堅い。

    過去20年では、150%を超えた後の2ヵ月間に、決まって日経平均株価がもう一段
    上げる場面があった。前回は12年前。金融安定化策による株高局面だ。
    「150%は市場全体を底上げする買い意欲が強い証拠」とも。
    今回も上値余地があるか。
    

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●マーケ総合2面(P17)  《大磯小磯》 成長戦略に物申す

    民主党政権は昨年暮れに新成長戦略の基本方針を発表した。
    公共事業頼みでも供給サイドの生産性向上でもなく、環境、健康、観光の3分野で
    100兆円を超える新たな需要を創造するというもので、過去の成長戦略とは
    一線を画するという意気込みを示した。

    現在は6月の新成長戦略の取りまとめに向けて各省庁で分野別の戦略が練られて
    いるところであろう。
    しかし各省庁の検討状況を垣間見る限り、旧来の成長戦略と何が違うのかよく
    分からない。

    最も気になるのは、相変わらず戦略の体系化が不十分な点である。
    過去の成長戦略ではマクロの成長目標と個別分野の施策がどう関連しているのか
    分かりづらかった。それは今回も同じである。

    例えば、新成長戦略の基本方針では、アジアの活力を取り込むため、
    ヒト、モノ、カネの玄関口となる空港や港湾などの公共インフラに集中投資
    するとしている。
    アジアの需要を取り込むためのインフラを重点的に整備しようという考え方は
    理解できる。

    しかし分科会で行われている実際の検討は、首都圏空港をどう拡充するか、
    コンテナやバルクを扱う大型港湾をどこに絞り込むかなどである。
    これでは単にバラマキを是正するだけの話である。
    個々の施策の検討に入る前に、アジアの需要を取り込むためには日本全体の
    交通インフラをどのように整備すべきかといった青写真が必要であろう。

    戦略策定に際して、省庁間の連携が取れていないことも従来と同じである。
    医療・介護ビジネスが将来の戦略分野と位置付けられている。
    同分野の戦略策定に向けて経産省が意気込みを見せているが、肝心の厚労省の
    反応は鈍い。

    厚労省はレセプトの電子化・オンライン化を進めつつあるが、これによって
    コストが削減できるだけでなく、電子化によって得られるデータを活用すれば
    医療の質、サービスの向上に向けて大きな成果が期待できる。
    本来であれば、関係省庁が連携して、まず医療ビジネス育成の全体ビジョンを
    描き、それを各省が持ち帰って具体策の検討を行うべきではないか。

    成長戦略の検討状況を見る限り、民主党政権下でも真の政治主導はまだ実現
    していないということであろう。
    新成長戦略の取りまとめに向けて、各省庁の施策の羅列ではなく、政策の
    体系化ができるかどうか、国家戦略室の力量が問われる。


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●スポーツ2面(P33)  球界も「クレド」で心得 持ち歩き型社員規範集

    企業の行動指針などを簡潔に記した携帯型の社員向け心得集「クレド」が、球界
    でも導入されるようになった。
    西武は昨年、球場での接客の質の向上をめざし、専門家の指導を受けて作成、
    集客増を後押しした。
    楽天は今年から選手向けのクレドをつくり、「野球選手の前に一社会人たれ」の
    精神を徹底させている。

    西武球団事業部の高木大成次長は朝礼でスタッフとクレドを読むのが日課に
    なっている。
    クレドとはラテン語で「信条」などの意味。
    名刺サイズの蛇腹状の紙には「小さい気遣いの積み重ねで、みんなを笑顔に」
    というモットーや、18項目の行動規範などが書かれている。
    球場の警備員やアルバイトを含め、同球団の野球事業にかかわる約1,400人が
    携行する。

    本拠地の西武ドームを含む組織改革を実施した2008年に、担当者の接客面での
    統一した指針が必要だと感じた球団が作成に着手。
    クレドを活用しているホテルのザ・リッツ・カールトンの大阪の
    元営業統括支配人、林田正光氏の協力を得ながら作り上げた。

    スカウトの不正行為などがあり07年に12球団最低にまで落ち込んだ観客動員が、
    昨年は球界再編のあった05年以降、最高の約150万人を集めた。
    かつて選手として活躍した高木次長は「クレドにはファンに満足してもらえ
    そうなヒントが詰まっている」と話す。

    楽天は両手ほどの大きさの紙を2つ折りにした「選手行動基準」を、今年の
    キャンプ前日の1月31日に選手らに配布した。
    全力プレーやファンサービスへの協力はもちろん、ヒゲ、茶髪、ピアスの禁止
    といった、野村克也前監督が口うるさく話していた身だしなみなど、7つの項目で
    計38の基準を定めている。

    米田純球団社長は「監督やコーチより長くプロ生活を過ごす選手が多い。
    だからこそ球団の理念を選手に浸透させる仕組みをつくりたかった」と話す。
    選手という商品を「楽天グループのイメージシンボル」と位置付けている
    ことも、クレド導入の理由の一つという。


    〈楽天の選手行動基準〉

   ▼私たちは、社会の一員として自覚を持って行動します
   ・プロ野球選手である前に、一社会人であることを自覚すること
   ・身だしなみを徹底すること(ヒゲ、茶髪、ピアスの禁止、移動中のスーツの着用)

   ▼私たちは、常に全力プレーを心がけます

   ▼私たちは、科学的思考で勝利を目指します
   ・データを分析し傾向を的確につかみ、用意周到で試合に臨むこと
    
   ▼私たちは、常にチャレンジ精神を忘れずに行動します

   ▼私たちは、自ら考えて行動し、無限の努力を続けます
   ・できない言い訳考えるのではなく、できる方策を探すこと

   ▼私たちは、常にチームの勝利のために行動します
   ・成すべきことを因数分解し、したたかに戦略的発想を持って、組織として勝利の
    確率を高めること
   
   ▼私たちは、支援していただく皆様のために行動します

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 編集後記

 オバマ米大統領「2030年代半ばまでに火星軌道に人を送りこみ無事に戻れるように
 できると信じている。火星への着陸もその後に続く」。

 ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡下さい。     (那珂)

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NO387 2010.4.19
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                              2010.4.19   NO.387

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            2010.4.19(月)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●経済面(P3)  《エコノフォーカス》 中国の今=日本の70年代?

    「列島改造ブーム」に沸いた1970年代前半の日本--。
    いまの中国経済は当時と似ているとの見方が広がってきた。
    不動産価格の高騰という問題を抱えながら、利上げには慎重な姿勢を示している
    ためだ。ただ住宅建設やインフラ整備などの需要は強いのは確かで、投機主導の
    バブルとはいえない面もある。
    約40年前の日本と同じように、中国も比較的浅い調整ですむのだろうか。

    「中国のハワイ」と呼ばれる海南島。中国政府は今年1月、2020年までに
    世界一流のリゾート地にすると宣言した。
    その土地や住宅に巨額のマネーが流れ込む。海口市の不動産価格は1年前の
    1.5倍になった。

    中国の不動産市場には過熱感が漂う。
    大胆な財政出動と金融緩和の副作用でもある。
    3月の主要70都市の不動産販売価格は前年同月比11.7%上昇した。
    「非常に心配している」。温家宝首相も警戒感を隠さない。

    当局は金融機関の窓口指導や預金準備率の引き上げを通じ、過剰なマネーの
    吸収に乗り出した。しかし景気の配慮から、利上げには二の足を踏む。
    人民元の対ドル相場も08年夏から事実上固定したままだ。

    同じ時期が日本にもあった。「日本列島改造論」。
    田中角栄元首相が72年に掲げた構想は不動産ブームに火をつけた。
    日本不動産研究所の全国市街地価格指数(00年3月末=100)は70年3月末の31から、
    74年9月末には62まで上がった。

    それでも日銀は窓口指導や預金準備率の引き上げでしのぐ。
    ようやく利上げに転じたのは73年4月だ。「国会での予算審議中の利上げは困る
    という大蔵省の反対は非常に強かった」。日銀百年史はこう記す。

    ここからどんな結論を導けるのか。
    日銀は3月、中国の不動産価格に関するリポートをまとめた。
    70年代前半の日本との類似性に触れたうえで「中国の不動産市場で調整が
    起きても、大規模なものにはならないという見方ができるかもしれない」と
    説明している。

    中国の発展段階は当時の日本に近い。
    人口1人当たりの名目国内総生産(GDP)をみると、現在の中国は
    3,500ドル(約32万円)で、73年の日本の3,800ドルに迫る。
    自動車普及率や都市人口比率は、60年代の日本とほぼ同じ水準にある。

    しかも中国の成長力はまだ強い。
    住宅や社会インフラの旺盛な需要が、不動産価格を下支えする効果を期待
    できる。75年に不動産価格が下落しながらも、浅い調整で乗り切った約40年前の
    日本と共通点が多いという。

    だがBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「本格的な金融引き締めが遅れれば、
    バブルのリスクが高まる」と話す。
    日本は73年の第1次石油ショックも重なって、「狂乱物価」と呼ばれるインフレに
    見舞われた。

    海外から中国に流れる投機資金の規模は大きい。地方政府の不動産ブームも
    根深い。80年代後半以降の日本と同じ大型バブルに発展し、深い調整に至る
    危険は残る。


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●予定・サーベイ面(P15) 《今週の予定》 

    4月20日 2月の第3次産業活動指数(経産省)

    小売り、運輸、金融、不動産などの業界の販売量や取扱量を調べ、2005年を
    100として指数にする。
    名目国内総生産(GDP)の7割近くを占める第3次産業の動きを映し、足元の景気を
    判断する有力な指標とされる。
    1月の指数は98.7%。


    4月22日 ECB定例理事会(フランクフルト)

    欧州中央銀行(ECB)が22日、定例理事会を開く。
    巨額の財政赤字を抱えるギリシャ政府に対し、欧州連合(EU)のユーロ圏16ヵ国が
    最大で300億ユーロ(約3兆8,000億円)規模の資金繰り支援策を決めた直後。
    この問題になんらかの言及があるだろうが、ECBの役割、ユーロの価値について
    議論を巻き起こすきっかけにもなりそうだ。


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●地域総合面(P29)  《時流地流》 「独裁者」VS. 議会、労組

    独裁者と言えば、ヒトラー、ムッソリーニ、あるいは近隣の将軍様らを思い
    浮かべる人も多いだろう。
    革命、反革命、戦争といった政治・経済的混乱を背景に行政だけでなく、立法、
    司法、軍部も一手に掌握する。
    国民主権や民主主義とは対極にあるやっかい者だ。

    そんな「独裁者」を著者のタイトルに掲げ「革命」を呼びかける人物がいる。
    鹿児島県阿久根市の竹原信一市長だ。
    議会への出席を拒否し、庁内の張り紙をはがしたとして職員を解雇、身体障害者
    への差別的発言で批判を浴びるなどお騒がせ続きだ。

    航空自衛隊出身のせいかどうかは不明だが、著者は「この世は戦場の牢獄だ」で
    始まる。自身だれと戦うのかと言えば、「日給実質52,000円の無能な市議」と
    住民の3倍にもなる平均655万円年収プラス高額退職金を手にする職員を支える
    自治労」だ。

    自らの給与を4割削減した市長の発言は農家、漁民や地方企業勤務の住民の心を
    わしづかみにする。市長主催の会合では「阿久根市の改革は竹原市長以外に
    できない」「市長の後ろには我々がついている」と応援の声が出る。
    「市役所での共働きは特権階級。禁止条例制定を」と時代錯誤の提案も飛び出す
    始末だ。

    格差の拡大がルサンチマン(弱者の憎悪心)を増幅し、ファシズムや独裁者を招く
    土壌となるのは歴史の教訓だ。ただ、独裁を防ぐ制度上の歯止めはある。
    司法の判断もその一つだ。提訴された案件は一審段階で敗訴続き。
    市長は「裁判所は神様ではない」と主張するが、説得力はあるか。
    無用な混乱が続けば、見方になっていた住民も離れる。

    市の事業で親族が経営する企業が非公開の最低制限価格を1円上回る価格で
    落札した。「李下に冠を正さず」の意識も乏しいのではないか。
    経済界からも夏の参院選後解禁されるリコール(解職請求)を模索する動きが
    ある。
    議会や公務員論などは全国共通のテーマだが、住民から見はなされたのでは
    水泡に帰す。力ずくで実行できる時代ではない。


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●社会面(P34)  《街かど人物館》 本の「旅」 IDで履歴、読書の楽しみに

    「本を世界中に旅させる活動を通じて、読書を楽しむ層を広げたい」。
    広島市に拠点をおくブッククロッシング・ジャパンの代表の財津正人さんは、
    出版の営業代行という本業の傍ら、この活動に情熱を注ぐ。

    読み終わった本にID番号を記したステッカーを張り、飲食店の一角など
    に設けられた「ゾーン」に置いてくる。
    その本を手にした人がウェブサイトでID検索すると、その本の旅の履歴が
    分かる。読み終わった後、現在位置と本の感想をサイトで報告し、また本を
    旅に出すというのが、ブッククロッシングの仕組みだ。

    根っからの本好きで、本を旅に出すという遊び心にひかれた。
    米国発の活動を広めようと2007年に日本事業を立ち上げ、現在日本各地にある
    「ゾーン」は東京や大阪など200ヵ所に増えた。
    広島発でスタートし、一定の基盤が整ったことから、このほど東京にも事務所を
    構えた。
    「まだまだ未完成の仕組みだが、読書好きを増やす一つの手段として広めて
     いきたい」と話している。

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 編集後記

 日経平均株価、11,000割れ。

 ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡下さい。     (那珂)

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NO388 2010.4.20
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                              2010.4.20   NO.388

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            2010.4.20(火)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●総合面(P3)  アイスランド火山噴火 噴煙粒子細かく 影響長引く恐れ

    今回の噴火は規模の割に、航空機エンジンに打撃を与えかねない火山灰の
    広がりが目立つ。


   ▼成層圏に達すれば拡散

    火山灰の量は14日の発生から3日間の累計で約1億4,000万m3、
    東京ドーム110杯分だ。フィリピンのピナツボ火山が1991年に大噴火した際の
    50億~100億m3に比べれば少ないが「粒子が細かいために、なかなか降りて
    こない」という。

    氷河地帯の噴火でマグマが水と反応して水蒸気爆発を起こし、細かい火山灰と
    なって飛び散ったようだ。
    通常は火山灰全体の数%しかない10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル
    以下の微細粒子が今回は4分の1程度を占め、広がりやすいとみられる。

    噴煙には二酸化硫黄(SO2)も含まれ、上空でエーロゾル(浮遊粉じん)を生成。
    太陽光を遮って気温を下げる「日傘効果」をもたらす可能性がある。
    噴煙の上昇が高度10~15km前後の対流圏までなら降水とともに落ちやすく、
    影響は長引かない。
    その上の成層圏に達すると拡散を続け1年程度は滞留する。広い範囲で日射量や
    気温の低下を招く恐れも強まる。

    今回、噴煙は高度約15kmに達したとされていたが現在は「2~7kmくらい」との
    見方が増えている。新たな噴火で再び上昇する可能性はある。


   ▼温暖化促進の可能性低い

    航空機は火山灰をうまく避けられないのだろうか。
    通常は高度10km程度を飛ぶが、高度をあまり上げるとエンジンが働かず
    失速する恐れがある。逆に下げると空気抵抗が大きくなり燃費が低下するので
    難しい。

    噴煙は温暖化ガスの二酸化炭素(CO2)なども含むが、
    国立環境研究所・地球環境研究センターの町田敏暢室長は
    「人間活動による増加量の方がはるかに多い」と指摘。
    「温暖化を促進する可能性は小さい」とみる。
    火山灰などが高緯度地域の氷河や雪氷を汚すと太陽光を吸収しやすくなり、
    融解が加速する恐れはある。
    噴煙のガスが雨に混じると酸性雨となって農産物などに影響を与える懸念も
    残る。


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●国際1面(P6)  《海外論調》 ゴールドマン訴追

    米証券取引委員会(SEC)は金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺の疑いで
    訴追した。

    米ニューヨーク・タイムズ
    「この訴訟が正しく解決されるなら金融危機の責任が強欲や無能力、規制の
     緩さだけでなく、不正行為にあるのではないかとの疑問に最終的に答えを
     出すことになろう」と指摘した。
    「ゴールドマン側は反論しているが、SECが主張を証拠立てて述べるなら
     金融危機の主要な説明の流れを変える分岐点になるだろう。
     住宅ローンを組み込んだ証券類を売り反対取引に関与していたのは
     ゴールドマンだけではない。これ以後他の金融機関も安眠は難しくなる
     のではないか」と述べ影響が金融界全般に広がると予想した。

    英フィナンシャル・タイムズ
    「もしその主張が正しければSECはゴールドマンを厳罰に処すべきだ。
     同社は反論しているが、SECの告発に指摘された同社内部のやりとりは
     証券会社が純粋な仲介業者で市場形成者であるとの考えを破壊する以上の
     ものだ。
     しかしこれにかかっているのは一金融機関の評判だけではない。
     ウォール街では不正なゲームが行われているという投資家の見方を肯定する
     ものだ」と批判した。

    英ガーディアン
    「金融危機の清算を望むものにとって今回の訴追は米政府と金融界の戦いの
     望ましい兆候だ。
     オバマ大統領は再び金融規制を主張し始めているが、その吠える声が
     かみつきを伴なうことを期待しよう」と訴追を評価した。


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●企業1面(P13) 3Dテレビで安全指針

    「寝転がって見ないで」--。
    立体的な映像が見られる3D(3次元)テレビの国内販売が週内に迫るなか、
    電子情報技術産業協会(JEITA)などは19日、3D映像を安心・快適に楽しむための
    安全指針を発表した。
    3Dは迫力がある半面、目の疲れや不快感が心配されている。
    視聴者や映像制作者、テレビメーカーに対し配慮すべき項目をまとめ、普及に
    水を差すような事態を防ぐ狙いだ。

    指針は「人に優しい3D普及のための3DC安全ガイドライン」。
    JEITAのほか、普及団体の3Dコンソーシアム(3DC)や産業技術総合研究所などが
    策定した。

    視聴者に対しては例えば顔を傾けて3D映像を見ると目が疲れるため、目を水平に
    して見るよう推奨している。子どもの発達にも考慮、大人が視聴時間などを
    管理すべきだとしている。

    映画会社や放送局など3D映像を作る企業に対しても立体感が強すぎる映像は
    作らないよう求めている。
    メーカーに対しては残像感がなるべく出ないようなテレビを作ることなどを
    盛り込んだ。

    指針は20日から各団体のホームページで公開する。
    テレビメーカーに対し、説明書に書き込んだり販促イベントで訴えたりして
    一般消費者に周知するよう求める。
    映像制作会社にも映像の中のソフトのパッケージなどに注意文を書き込むなど
    して周知を求めるという。


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●マーケット総合1面(P18)  《まちかど》 新興市場の復活は本物?

    新興市場の復活の復活は本物かも--。
    そんな言葉が市場でささやかれ始めた。
    背景にあるのはジャスダック証券取引所の信用評価損益率の改善。
    9日申し込み時点ではマイナス7.63%と、2006年2月3日のライブドア・ショック
    直後の水準(マイナス6.13%)に迫ってきた。

    19日の日経ジャスダック平均の下落は日経平均に比べ限定的で、個人の買い
    余力を示す信用評価損益率は高水準が続きそうだ。
    ただ、マイナス3%を上回ると相場の加熱のメドともされる。
    このため、「改善しすぎない方がいい」とのジレンマも。


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●社会面(P38)  鉄より丈夫なプラスチック

    広島大学の彦坂正道特任教授らの科学振興機構の研究チームは19日、鉄鋼の
    2~5倍の強度を持つプラスチックを開発したと発表した。
    鉄やアルミニウム、ガラスなどに代わる素材になるとみている。
    自動車鋼板の代替材として実用化できれば重量が約2tの車両を半分に軽量化
    できるという。

    研究チームはプラスチックの中でも軽い素材であるポリプロピレンの製法を
    改良した。高温で溶けたポリプロピレンを固まらないように冷やしてから
    一気に押しつぶす。これにより、糸状の高分子の鎖が一定方向に並んだ結晶と
    なった。通常のポリプロピレンは高分子の鎖が絡み合った構造で、強度が
    低かった。

    新開発のプラスチックを鋼板と同じ強度にすると厚さは2倍になるが、重さは
    4分の1で済む。自動車や航空機、建物などの金属材料の代わりになるという。
    透明なので窓ガラスの代替品にも使える。

    既存の高強度プラスチックは炭素繊維などを混ぜて強化するが、価格が
    1kg当たり1万円前後と高い。炭素繊維を取り除けないので再利用もできな
    かった。

    新開発のプラスチックはポリプロピレンと同程度の同100~200円程度で
    生産でき、再利用も可能という。
    化学メーカーのサンアロマーなどと製品化を目指す。

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 編集後記

 日本航空、成田─ローマ便の運航を再開。

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NO389 2010.4.21
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                              2010.4.21   NO.389

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            2010.4.21(水)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●総合・政治面(P2)  《社説》 独法に潜む無駄を仕分けであぶり出せ

    行政刷新会議が23日から事業仕分けを再開する。
    昨秋は2010年度の政府予算案の編成に向け、府省側の要求を削るのが
    主眼だったが、今回は補助金交付や官僚の天下りを通じて各府省と密接な関係
    にある独立行政法人(独法)と財団・社団法人の仕事をふるいにかける。
    それぞれの法人に潜む無駄をあぶり出して官のスリム化につなげてほしい。

    再開にあたって枝野行刷相に求めたいのは、仕分けを政治的な見せ物にしない
    ことだ。会場の公開やインターネットの動画中継はよい。
    だが仕分け人の与党政治家らが衆人環視を意識しすぎると、官僚や独法の
    幹部らをやり込める「劇場」になる恐れがある。

    見せ場をつくって内閣支持率の低落を押しとどめたいなどという下心は捨て、
    中身本位で勝負をすべきだ。

    昨秋の反省点はまだある。
    大事な制度改革に欠かせない予算まで削減の対象にした点だ。
    診療報酬明細(レセプト)電子請求の医療機関への義務付け、社会保障カードの
    導入に関する関連予算などだ。

    行刷会議の規制改革分科会は今になって、レセプトを活用して診療内容を
    透明化する検討を始めた。
    また国家戦略室はカード方式を含めた社会保障番号の導入を目指している。

    仕分けの目的を見失わず、政策の中長期の方向性と矛盾しない成果を出す必要が
    ある。

    今回の仕分けは47の独法を対象にする。また重要なのは、法人間の仕事の重複や
    民間に任せても差し支えない仕事をあぶり出すことだ。

    例えば、内閣府の国民生活センターと経済産業省の製品評価技術基盤機構の
    商品テストは整理できるだろう。文部科学省の国立文化財機構などの運営の
    民間委託や大学入試センターの民営化も検討課題になる。

    独法が仕事を親元の府省から請け負ったり、財団・社団法人に発注したり
    する際、透明度が低い随意契約が慣例になっていないかにも目を光らせる
    べきだ。
    そうした不透明な事例を洗い出せば、法人側の幹部の職が特定の府省出身者の
    指定席になっている弊害の是正にもつながる。

    この洗い出しによって、天下り官僚が世の常識からみて法外に高い退職金を
    もらい、関連法人に再就職を繰り返す実態も白日にさらされる。

    独法が抱える積立金の精査もいる。事業に必要な資金は積立金に頼るのでは
    なく、毎年度、予算要求するほうが透明度が高く規律も働く。

    独法改革は総論賛成・各論反対に陥りがちだ。各法人を所管する閣僚が
    抵抗勢力になるようでは困る。


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●総合・政治面(P2) 仕分け第2弾でメス 天下り 事業重複 不要資産

    政府の行政刷新会議(議長・鳩山首相)は20日、23日からの事業仕分け第2弾の
    前半戦で取り上げる事業を決めた。
    都市再生機構、日本貿易振興機構、理化学研究所など47の独立行政法人の
    151事業が対象だ。
    公務員の天下り、事業の重複、不要資産の3点に重点的にメスを入れ、統廃合を
    含む独法制度の抜本改革につなげる。

    「国民の期待は大変大きい。独立行政法人を国民の目線で見直す」。
    首相は事業仕分けへの期待を強調した。
    前半戦で取り上げるのは独法の事業。全104独法のうち約半数が対象だ。
    5月下旬の後半戦では政府系公益法人の事業を取り上げる。

    大きな焦点が公務員の天下りだ。対象の47法人には2008年10月時点で約100人の
    公務員OBが役員として在籍した。
    民主党政権になって独法役員の公募を始めたので現在はやや減ったが、それでも
    都市再生機構(5人)、日本原子力研究開発機構(4人)など天下り役員の多い
    法人も目立つ。一般職員への天下りも手つかずだ。

    天下りは所管省庁との癒着を生んで独法へのチェックが弱まり、非効率的な
    事業が温存されがち。
    枝野行政刷新相は「公務員がどうしても必要な独法ならば現役出向を増やす」
    との考えだ。

    事業の重複も課題だ。それぞれの事業に無駄はなくても、同じような事業を
    複数の独法が手掛ける例が目立つ。
    例えば研究開発の独法は全38法人あるが、農林水産省所管だけで
    農業・食品産業技術総合研究機構など6法人もある。

    不要資産の売却もポイントだ。
    行刷相は20日、東京・竹橋の同じビルに入居する国立大学財務・経営センターと
    大学評価・学位授与機構の事務所も視察した。
    いずれの独法も都心に本部がないため事務所を置くが、必要性には疑問符が
    つく。
    都市再生機構、日本万国博覧会記念機構など多くの不動産を抱えた法人もあり、
    資産の売却ペースを上げるように迫る。

    国の予算全体を対象にした昨年と違い、今回は財源捻出の期待は難しい。
    捻出額は1,000億円にも満たないとの見方がある。


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●総合・政治面(P2)  小沢氏どうなる・・・民主緊張

    民主党の小沢幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る
    政治資金規正法違反事件で、小沢氏不起訴の当否を巡る検察審査会の議決が
    一両日中に出るとの観測が広がり、党執行部に20日、緊張が走った。
    結論は月内にも出るとみられている。

    「起訴相当」や「不起訴不当」といった議決の場合、小沢主導の党運営に影響が
    及ぶ可能性もある。
    「本当に近々、結論が出るのか」「起訴相当の議決もあるのか」--。
    表向き平静な党内だが、幹部らの関心の高さを隠せない様子だった。

    小沢氏は20日、国会内に姿を現さなかった。資金管理団体の偽装献金事件で
    不起訴となった鳩山首相についても、近く検察審査会の議決が出る見通し。
    22日には東京地裁が首相の元公設第1秘書、勝場啓二被告の判決を言い渡す。
    野党側は「ヤマ場の1週間」と追及を強める構えだ。


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●マーケット総合1面(P14)  《まちかど》 元切り上げの恩恵は

    中国の人民元の切り上げ観測が高まり、その恩恵を受ける銘柄探しが活発だ。
    シティグループ証券の剱崎仁氏は「切り上げは化学、鉄鋼、非鉄金属、
    輸送機械にプラス」とみる。
    これらは中国での現地販売や日本からの輸出が多い一方、原材料の現地調達や
    日本への輸入が少ないからだ。

    大和証券キャピタル・マーケッツは16日付リポートで、切り上げで中国の
    購買力が高まり、輸入が増えると、中国での販売が多い資生堂や日産自動車
    などの株価上昇が期待できると指摘する。
    ただ顔ぶれは、これまでの「中国関連」とほぼ同じ。
    いざ元が切り上げられても蒸し返し程度の反応かもしれない。

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 編集後記

 明石歩道橋事故、検察審査会の起訴議決。
 小沢幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件も
 国民の大半は検察審査会の起訴議決を望んでいる。


 ご感想・ご意見は、お気軽にご連絡下さい。     (那珂)

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            2010.4.22(木)    日本経済新聞 (第14版 関西版)
 
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●総合・政治面(P2)  《社説》 普天間の八方ふさがりどうする気か

    米軍普天間基地の移設問題をめぐり、「5月末までには五月晴れに」と記者団に
    語った鳩山首相の言葉を素直に受け止める国民がどけだけいるだろうか。

    首相が「最低でも県外」と言い切った普天間の移設先の調整がいよいよ
    八方ふさがりとなってきた。
    3度目の党首討論に臨んだ首相は、決着への意欲を改めて示した。
    だが、自ら期限を切った5月末まで1ヵ月余りになっても、政府案の中身すら
    説明できない状況が続いている。

    自民党の谷垣総裁は討論の持ち時間の大半を基地問題に割いた。
    鹿児島県徳之島で開かれた大規模な反対集会に触れて「不安を与えている。
    あれだけの反対集会があった後も依然として案なのか」と政府の取り組み状況を
    ただした。

    首相は「腹案を持っているのは事実だが、当然のことながら地元よりまず米国に
    理解されるかどうかを水面下でしっかりやり取りしないといけない」と
    説明した。
    
    米政府は地元が受け入れる見通しがなければ本格的な再交渉は難しいとの
    立場だ。米政府の決断がないと地元に説明できないという首相の主張は、
    責任転嫁に聞こえる。

    谷垣氏は「現行案は2014年の普天間返還だった。これから努力すると言うだけ
    なら大きな後退だ」と追求し、首相は「(現行案の)辺野古は工事に取りかかれる
    状況ではまるでなかった」と反論した。

    確かに現行の移設計画の決定には1996年4月の日米合意の基本合意から10年もの
    時間を要した。しかし、返還に向けて詰めの段階に入っていた案を
    「実現国難だった」と決めつける根拠はあるのだろうか。

    谷垣氏は米海兵隊が果たしている抑止力への評価もただした。
    首相は「役割は大きい」「沖縄からあまり遠くまで移すのは適当ではない」と
    語るのみで、安全保障の論議はいまひとつかみ合わなかった。

    沖縄県には在米軍基地の7割以上が集中し、「県民の負担を少しでも和らげたい」
    との思いは理解できる。
    だが、日本の安全と日米同盟、普天間の危険除去に折り合いをつけねばならない
    時期が近づいている。

    最後に谷垣氏は「職を賭して5月には解決すると約束してほしい」と迫った。
    首相は「必ず関係閣僚と協力しながら結論を5月末までに出させてもらう」と
    言質を与えなかったが、もし決着できなければ政治責任は重大である。

    「努力はしました、でも失敗しました」では、日米関係にとっても沖縄に
    とっても最悪の事態である。


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●総合・政治面(P2)  米大使、共産委員長と初会談

    共産党の志位委員長は21日、米大使館でルース駐日大使と約40分間、会談した。

    大使は沖縄の米軍普天間基地の移設問題に関連し
    「米国としては在日米軍基地の負担は軽減しなければいけないと認識している」
    と表明。移設先については「現行案が最善で実現可能なものと考えている」との
    考えを改めて強調した。

    共産党委員長と駐日米大使の会談は初めて。
    志位氏は普天間問題について鹿児島県・徳之島での反対集会に触れながら
    「もはや後戻りすることがない限界点を超えている。無条件撤去しかない」と
    強調。大使は「意見が異なっている」としながらも
    「立場の違いがあっても敬意を持ってオープンなコミニュケーションを
     持つことが重要だ」と応じた。


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●総合面(P3) 政治は壊れゆくのか

    発足から7ヵ月で早くも行き詰まりつつある鳩山内閣を「政権末期の様相」と
    表現するとしたら、野党にも受け皿が見当たらない現状を何と呼べばよいの
    だろう。

    「あるいは愚かだった、愚直だったかも知れません」。
    鳩山首相が党首討論の冒頭に発した一言に会場が一瞬どよめいた。

    米軍普天間基地の移設問題の混迷で批判の矢面に立つ自身を訪米時の米紙の
    厳しい論調になぞらえたものだ。だが自嘲気味な表現を与党議員でさえ誰も
    笑い飛ばせなかった。

    自ら課した「最低でも県外」「5月末に結論」というハードルに足を取られ、
    他の政策課題への取り組みはことごとく精彩を欠いている。

    郵政改革を巡る閣内不一致を何とか収めたと思ったら、今度は高速道路料金の
    新料金体系への移行を巡り小沢幹事長が土壇場で「待った」をかけた。

    長年の自民党政治を打破するため「改革政党」の旗を高く掲げてみたものの、
    政権の座についたら参院選にらみで優先順位づけに右往左往する構図である。

    「政治とカネ」を巡って相次いだ不祥事に誰も責任をとらないうちに、奇妙な
    低位安定の政権運営が定着してしまった。
    政策決定に誰が最終責任を負っているのかさえ、判然としない。

    「愚かな首相」発言を聞いて党首討論で「がく然とした。何ですかそれは」と
    かみついた自民党の谷垣総裁も、党組織が崩壊しつつある状況に有効な手を
    打てていない。

    「第三極」を目指す新党結成の動きが急加速しているのは、有権者が民主党と
    ともに自民党も見限りつつある空気を敏感に感じ取っているためだろう。

    4月に入って「たちあがれ日本」「日本創新党」が相次いで旗揚げし、自民党内で
    執行部批判をくり返してきた舛添前厚生労働相も近く新党結成に踏み切ると
    いう。

    だが参院選後にキャスティングボートを握ろうとするこうした動きも、現状では
    大きな流れを生むまでには至っていない。政界はさらに混沌としてきた。

    かつても経済失敗や資金スキャンダルで内閣支持率が低迷し、政局が困迷の
    度を深めたことはある。ただ当時は自民党内の非主流派が首相に退陣を迫り、
    官僚機構も行政を安定させる一定の役割を果たしていた。

    政治主導が定着しつつある現状は、当時に比べても政党や政治家の責任が重い。

    「脱走者」が相次ぐ自民党が窮地の首相を支える皮肉な状況を一日も早く
    変えなければ政治は壊れ、日本は確実に沈没していく。


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●経済2面(P5)  枝野行刷相 インタビュー

    --5月の事業仕分け後半戦では公益法人を取り上げる。国と公益法人の関係を
    見直したいと発言しているが。

    「形式的には民間法人だが、実態は民間でない組織がかなりある。実態に形式を
     合わせる改革のあり方も考えられる」


    --公益法人でない法人になることもあるか。

    「そういうことも含めゼロベースで検討する。90%以上が国の仕事なのに、民間
     だから人事に国が関与できないのはおかしい。人事権を握れば役所OBも
     来なくなる」


    --事業仕分け第2弾で独立行政法人と公益法人を取り上げる狙いは。

    「第1弾は国の事業を網羅的に選んだので、2回目は組織・制度改革につながる
     仕分けをしたほうがいい。納税者の視点で一番税金の使い方を透明化し、
     無駄を削ってほしいのはやはり天下り団体の独法・政府系公益法人だろう」


    --事業仕分けの結果で独法制度の改革案をまとめる。いくつくらいの法人に
    移行させるのか。

    「一般的にいまは独法は4つか5つに分かれる。ただ、それが制度改革の先に
     あるものとイコールではない」
   

    --仕分けの結果、仮に廃止となった独法の職員の雇用はどうする。

    「民間並みだ。民間だって仕事がなくなったらリストラになる。ただ、
     まっとうな経営者ならば明日から来なくていいよとはならない。
     リストラも自然減とか希望退職で最大限努力する」


    --割増退職金などを払うこともあるか。

    「必要ならそういう制度を採り入れることは否定しない。トータルの国費が
     節約できるならば」


    --独法・公益法人の仕分けをすると公務員制度の問題につながる。

    「一種の特区制度みたいにまず独法・公益法人で新たな公務員制度のモデルを
     つくる。国家公務員法の適用がないので、法律を変えずに人事労務体系を
     見直せる。モデルが機能すれば、それを国家公務員法改正につなげればいい」


    --事業仕分け第3弾は何をやるのか。特別会計を取り上げるのか。

    「第3弾の仕分けをやるのかどうかを含めて第2弾を踏まえて考える。
     特会でくくった議論が特会改革に建設的だと思ったらやるかもしれない」

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 編集後記

 日経平均、午前終値208円安。


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